農業体験はしておくべき?農業バイト・農業ヘルパー体験を語る

農業

農学部で過ごす4年間、そして就活・就職を考えた場合、学生時代に「農家でバイト」「農業体験」はしておいた方がよいでしょうか?

「…農業のバイトなんてあるの?」と思われたあなた、意外と身近にあるのです。首都圏近郊でも、農業のバイト募集は常に行われているのです。

あなたが農学部生ならば、筆者は、せっかくなら居酒屋やアパレル店でをするより、一度は農家で働いてみてほしいと思います。というわけで、本記事では、農業体験をしておくべき理由、農業バイトの時給、労働環境、やりがいなどを実体験から語ろうと思います。

農家でバイトするには?

農家で働くには、農家に直接雇用されるアルバイトの他に、農業ヘルパー組合などの団体にに登録した上でバイトとして働かせてもらうなどの方法があります。

農家に直接雇用された場合は、辞めるまでは雇用された先で働くことになりますが、農業ヘルパーとして働く場合は、「派遣」という形で日ごとに様々な農家を回って仕事をすることになります。

それぞれに、メリット・デメリットがあるので、両方体験してみて自分に合った方を選択するのが良いでしょう。または、ヘルパーとして派遣された先で、考え方や仕事の方針が合う農家さんがいれば、後々そこで直接雇用してもらうのも良いかもしれません。(筆者は両方の経験者ですが、一長一短という感想を持っています。)

農家バイトの仕事内容

農業アルバイトは、「畑」か「酪農」かで大きく異なります。どちらも未経験者歓迎を掲げている場合が多いので参入はしやすいと思います。ただ、どちらも体力がいるため、疲れやすい方は邪魔になります(はっきり言います)!

畑でのバイト

農作物を育てて出荷するタイプの農家の場合、仕事内容は草取りや収穫作業の手伝いが多いです。もちろん、細かく分ければ仕事は山ほどあるのですが、収穫期は特に繁忙期なので、短期バイトをするなら狙い目です。

筆者は大学の夏休みにブルーベリーの収穫のバイトをしておりました。腰に大きいカゴをつけて、真夏の炎天下にひたすらベリーの実を摘んでおりました。

熟れ過ぎた実(つまり食べ頃)はパックの中で潰れて汚くなるので食べてしまってよいとのことでしたので、摘んではカゴに、摘んでは口に入れておりました。

そのほか、重機で掘り起こしたじゃがいもをコンテナに入れて軽トラまでひたすら運んだり、人参の芽が出たばかりのトンネル(=小さいビニールハウス)内を草取りしながら匍匐前進したりしました。トンネル内は非常に蒸し暑いのでメガネが曇ります。

畑でのバイトは男女関係なく力仕事があります。ですが、男性と女性では圧倒的に力の差があるので、女性はベリーの収穫や袋詰めなどの比較的軽作業に回されることもあります。軽作業は力は必要ない分、スピード単調作業に飽きない集中力が求められます。

酪農家でのバイト

酪農家でのバイトの主な仕事内容は、牛の糞尿の掃除、餌やり、搾乳です。餌となる牧草やトウモロコシ畑を所有している酪農家でバイトをする場合は、上記の仕事内容に加えて、刈り入れなどを手伝う場合もあります。

酪農家でバイトをする場合は、朝が大変早いのも特徴です。だいたい5時(それより早い場合も)から仕事が始まります。牛の搾乳・給餌は朝・夕の2回で、従業員は5時〜9時、16時〜21時での就労が多いようですが、農家によっては1日3回搾乳しているところもあります。

学生でバイトをする場合は、授業前の朝の時間帯か、授業後(または午後の授業のない日)の夕〜午後の時間帯に働くことになるでしょう。

農業バイトの探し方

筆者が学生であった10ウン年前と違い、今ではインターネット上で農業専門のアルバイト求人サイトがいくつもります。試しに「農業 バイト」「農業ヘルパー」で検索してみましょう。

代表的な農業求人サイトをご紹介します。ご自身のお住まいの地域や要件など、通常のアルバイト探しの感覚で条件を絞っていけます。また、「夏休みを利用しての北海道での農業バイト」といった募集もあります。

あぐりナビ
https://www.agri-navi.com/

第一次産業ネット
https://www.sangyo.net/

マイナビ農業
https://agri.mynavi.jp/tag/%E8%BE%B2%E6%A5%AD%E6%B1%82%E4%BA%BA/

農家のお仕事ナビ
https://www.agreen.jp/job/index.php

時給・労働環境など

農業バイトの時給はそれほど高くはありません。だいたいが1000円前後・と、コンビニのアルバイトくらいの賃金です(各県の最低賃金くらいです)。ちなみに筆者は、時給750円で働いておりました。人によっては、それなら冷暖房の効いたコンビニでのバイトを選ぶという方もいるかもしれません。

労働環境は、当然ですが屋外作業が主になりますので、夏の暑い中、冬の寒い中行われます。ただし、酪農の場合は、牛舎の中の作業が多くなりますので直射日光の下で働くことは避けられるでしょう。

学生時代に農家でバイトをするメリット

長期的メリット

百聞は一見に如かず。授業をぼーっと聞いて、後でせっせと試験勉強をするならば、今とっている授業に関連した農家でバイトしましょう。授業内容に当事者意識が生まれ、得られることも格段に多くなります。

特に、TPPなどの国際協定の締結や、各種国内の法改正などは、影響をモロに受ける農家さんからお話を聞く意義は大きいと言えます。授業のみならず、その後の就職や社会での役割を果たしていくときに、「農学部卒」として軸のある自分の意見を言えるようになっておくことは重要であると思います。

短期的メリット

作っている農産物の種類にもよりますが、たいていは野菜をたくさんもらえます。畑農家では「規格外」の野菜が多く出るため(悲しいことですが、箱詰めに適さないサイズの野菜は「規格外」として除外されます)、個人で食べるには十分すぎる量の野菜がもらえます。農業バイトは時給は安いですが、食費(食材)+お金と考えると、案外時給が良いと考えることもできます。

筆者は、ブルーベリーなどはキロ単位でもらったこともあります。久々にブルーベリーを食べたくなってスーパーで探したら、両手にいっぱいくらいの量で360円もしてびっくりしました。

また、作業中や食事・休憩時におばちゃんたちに野菜の調理方法などを教えてもらえるので、料理のレパートリーが増えました。そして、作業の後の食事はこの上なく美味しいです。これは体験してもらいたいです。

デメリット

体力が必要で、作業内容によってはかなり疲れます。バイトから帰ってくると他のことが何もできないなんてこともよくあります。夏場は日焼けや汗疹(あせも)、虫刺されにも注意が必要です。また、筋肉痛くらいならまだマシな方で、腰や手など酷使する体の部位を極端に傷めてしまう場合もあります。

頭の片隅に置いてほしいこととして、雇い主である農家さんは、口が悪い・キツい(物言いが乱暴)なこともしばしばだということがあります(そいういうものだと思わないと傷ついてしまいます)。

家族経営でも法人会している農家もありますが、やはり「一企業」というより「自分の領土」で人を使っているという感覚が強い印象です。

上記に関連して、家族経営の農家は(たとえ法人でも)企業色が薄いので、労働時間が曖昧で、あれよあれよという間に労働時間が長くなったり、作業が深夜になったりすることもあります(労働基準法では、夜10時以降は深夜労働扱いです)。交渉力がないと、「最近の若い者は根性がない」で片付けられてしまうこともあります。

初めて農家でバイトをする方へのアドバイス

未経験の場合は、まず単発の収穫バイトや短期雇用をおすすめします。土日だけ働いてみて、疲れ具合や作業内容の向き不向きなどを考えて、続けるかどうか決めてみてはいかがでしょうか。

また、前章で触れた通り、「従業員を雇う」ことに慣れていない農家さんとはトラブルに発展する場合があります。ですから、ある程度「人を使う」ことにある程度慣れている(常に他の従業員がいる)農家さんを選ぶようにしたり、小規模経営の農家さんにはヘルパー組合を通して働くなど、工夫して就労しましょう。

アルバイトの他に、「農業体験」やボランティアをしてみるのも良いかもしれません。ただ、体験ではあなたの立場は「お客様」止まりなので、本当はご迷惑をおかけしていても笑顔で手土産を持たされて帰される場合もあります。土日だけでも良いおで「働く」体験をしてみましょう。

農業バイトを進路に活かす

農学部で履修できる内容は、生命科学系から工学系、社会学・経済・経営系まで様々です。学生によっては「農業」というイメージから程遠いラボ生活を送る方も少なくありません。

ですが、自分の専門を決める前に、一度農業をしっかり仕事として体験しておくと、例えば「どんな農業機械/農薬/品種が求められているのか」「害虫被害の実態」「野生生物との共存」などなど現実の問題が見え、後悔のない進路選択につながります。

また、農学部生の就職先として、種苗会社や各種農業関連会社、農協、農林水産省などの公務員などがありますが、そこで「現場で求められていること」を知っていることは少なからずプラスになるでしょう。

まとめ

農家でアルバイトをする場合のポイントと、メリット・デメリットをまとめます。学生にありがちな居酒屋やアパレルショップでのバイトもよいですが、農学部卒を名乗るなら、一度は農家で働いてみましょう。

  • 農家でバイトをするなら直接雇用と農業ヘルパー(派遣)が選べる
  • インターネットでバイト先が探せる
  • 畑の他に酪農という選択肢もある
  • 体力と、夏の暑さ・冬の寒さに耐える忍耐力が必要
  • 農家さんの生の声を聞いたり農産物をもらえるメリットがある
  • 虫刺されや日焼け、怪我のリスクが高いなどのデメリットがある

農業体験は、人や生き物とつながり、ときに屠殺などを見せてもらうことで強烈な感情体験を得られます。毎日食べている野菜や肉、牛乳が生産される過程に関わりると、自然に余剰食品問題や価格に興味がわき意見も持つようになります。農家で働く体験は、たった数日でもあなたの人生に何らかのインパクトを与えるはずですよ。

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