子供にスイミングをすすめる目的は?「とりあえず25m泳げるように」しておくべき!?

習い事

水泳は、体力増強や健康促進に非常に効果の高いスポーツであるといわれています。子供の習い事のうち「水泳」は常に人気が高く、あなたも「子供に何かスポーツを…」と考えた時、スイミングスクールに通わせることが候補に挙がったのではないでしょうか。

では、あなたが子供の習い事として水泳を選ぶ目的は何でしょうか。「とりあえず泳げるようにすること」ですか?「とりあえず」とはどのレベルですか?…「とりあえず泳げるようにすること」が目的だったはずなのに、いつの間にか競技での1番を狙って応援するようになりはしませんか?

また、「災害(水害)に遭った時のため」という動機であれば、普段の陸上生活における脅威に備えて護身術を身につける方が良いとは思いませんか?…そもそも、あなたは、大人になってから「泳ぐ」必要のある場面を経験したでしょうか?

筆者は就学前と小学校時代にスイミングスクールに通い、「とりあえず泳げるようになった」一人です。その立場から、幼少期に水泳を習うことのメリット・デメリットをお話しします。子供の習い事として「とりあえず水泳」と思っている方、「習わせておいた方が無難かな…」と迷っている方にとって、ご参考になれば幸いです。

スイミングスクールとは

スイミングスクール(水泳教室)とは、生徒に対して「水に親しみ、水中での泳ぎ方を教えてくれる」教室のことです。「泳ぎ方」とは、一般に、バタ足・平泳ぎ・クロール・背泳ぎ・バラフライを指します。

ゼロからスタートした場合、必ずしも全員が背泳ぎやバタフライまでマスターするとは限らず、夏期集中コースなどの短期講習では、バタ足・平泳ぎ・クロールの習得までという場合も多いと思います。

念のために申し上げておきますと、ここで言う「泳げる」とは、水泳用の水着を着て、25mプールを泳ぎ切れることを指します。普通のスイミングスクールのコースでは、「事故で水に落ちた時の対処法」である「着衣水泳」は、指導項目に入っていません。したがって、「災害に遭った時のため…」が動機の場合は、泳ぎの基礎である水泳の他に、「着衣水泳」などを受講させましょう。

スイミングスクールでの授業

子供を対象としたスイミングスクールで、筆者が体験した授業をおおざっぱにご説明します。

スイミングスクールでは、コーチ1〜2人に対して10名前後の生徒(もっと少人数の場合もあります)という割合で授業が行われました。学校の体育に比べれば「少人数制」と言えるため、一人の生徒に対しての指導がしっかりと行き渡る印象です。

最初は、水に顔を浸けたり潜ったりすることに抵抗がなくなるような、「慣らし」を行います。楽しみながら水に親しむ、遊びのような訓練です。次に、「ヘルパー」と呼ばれる浮きを腰につけた状態で、「ビート板」という浮き板に捕まって、バタ足でまっすぐ泳ぐ練習をします。そのうち、ビート板なし、ヘルパーなしでバタ足で泳ぐ…というようにレベルアップしていきます。

さらに、クロールでの手の動きや、平泳ぎでの手足の動きを、文字通り「手取り足取り」教えてもらいます。そして、体が沈まないように、「息継ぎ」する方法を訓練し、最終的にクロールや平泳ぎで25mプールを泳ぎ切れるようにします。

費用

スイミングスクールの授業料は、習う子供の年齢やレベルによっても異なりますが、だいたい月額(週1回のレッスン)4,000円〜10,000円が相場です。もちろん地域やスクールによっても異なりますし、週に何回レッスンを受けるかによっても異なりますので、あくまで目安にしてください。筆者の場合は、年中〜年長の幼児コースを週一回受講して月額6,800円でした。また、小学生の頃は、夏休期間中のみ短期講習を受講しており、これは5日間で7,000〜8,000円でした。

また、初期費用についてですが、スイミングの場合は割と安く済みますので安心です。必要な道具は、水着(1,500〜2,000円程度)、ゴーグル(1,000円前後)、スイミングキャップ(100均で買える)、そして巻きタオル(2,000円前後)で、合計5,000円前後です。

スイミングに通う目的は?

あなたが子供の習い事にスイミングを選ぶ理由はなんでしょうか。「いざ、というときのため」とおっしゃる方がおりますが、普段の生活での危機(痴漢、ひったくり、DV彼氏撃退…)に備えて護身術を習った方が、それが活かされる確率が高いとは思いませんか。

…護身術を習わせる親御さんは珍しいのに、なぜスイミングの需要は高いのでしょうか。筆者が思うに、それは、水泳は「学校の授業にあるから」です。無意識に「必要なもの」「身につける優先度が高いもの」と考えてしまっているからです。しかし、その後の人生を考えると、本人にその希望がない限り「泳ぐ必要がある」場面には滅多に出くわしません。(体育大学などを除けば)一般入試科目にもありません。

その点を踏まえて、習い事として水泳を選ぶ場合は、その目的を明確にしましょう。健康増強、体力強化のために水泳を習わせるのか、競技スポーツとして取り組ませるのか、いざというときのために泳げるようにしたいのか…。目的によって練習量も取り組む姿勢も変わっていきます。もし、あなたが子供をスイミングスクールに通わせたい動機が、「何となくやっておいた方が良さそうだから」という場合は、一度、ご自身の気持ちを整理してみましょう。

水に対する恐怖を克服したい

もし、子供が水に潜るのを怖がることを克服したいなら、小学校の水泳の授業が始まる前に、スイミングスクールでゆっくり慣らすというのは得策かもしれませんね。

ただし、いきなりスイミングスクールに入れてしまうと、「ガンガン泳ぎたい子供」と同じグループになってしまい、劣等感を感じてしまうでしょう。水が怖い子供を慣らすことに長けた先生を根気よく探すか、あらかじめ相談して個人レッスンをつけてもらう手もあります。スパルタではなく、「水が怖い」子供の気持ちを理解し、あくまでカウンセリングのように優しく水に慣らしてくれる先生がおすすめです。

とはいえ、先にも述べた通り、筆者は大人になってから泳ぐ必要性を感じた経験はなく、泳げなくとも全く問題ないと思います。最近は学校の先生も寛容なので、水泳の授業は見学か別メニューにしてくれるよう掛け合ってみてはいかがでしょう。

学校の授業についていくため

学校の体育には必ず水泳の授業があります。小中学校では、先生1人に対して30人前後の生徒を指導するため、生徒一人一人に対して手取り足取り泳ぎを教えるわけにはいきません。大抵は、生徒を上級・中級・初心者にレベル分けして指導してくれますが、全く泳げない生徒は、授業中に劣等感を感じてしまうこともあるかもしれませんね。

水泳の授業は夏季の一ヶ月程度とはいえ、それが憂鬱で憂鬱でたまらないと言う生徒は筆者のクラスにもおりました。それを考えると、あらかじめスクールに通って、「ある程度」泳げるようにしておくのは得策といえるでしょう。

この場合、年間を通して通い続けるコースではなく、短期集中クラスなどを受講することをお勧めします(身体的・金銭的負担が小さく済みます)。春休みや夏休みの間に集中的に通って、基礎を身につけてしまいましょう。

筆者がスクールに通ったのは、未就学児の頃と小学生対象のの夏期集中コースのみでした。「学校の授業(普通の公立)に遅れを取らずについていく」という視点では、この時身につけたことだけで、高校の水泳の授業まで苦労しませんでした。

体力作りのため

水泳は、体力増強、健康促進に大変効果があるといわれています。水中を歩くだけでも、かなりの運動になるそうですね。子供の頃に、何かひとつスポーツに打ち込むことは、その後の人生を健康に過ごすためにおおいにプラスになる思います。

ただし、スポーツをする以上、それには多かれ少なかれ「競技」の要素が含まれます。子供自身が競争心を持って、熱心に取り組むならそれで良いのですが、親の側が過度に競争を煽らないように注意しましょう。「続けること」「定期的に運動すること」が目的のはずが、いつの間にか周囲の子供を競わせ、苦しい思いをさせないようにしたいものです。

いざという時のため

まれに「いざという時のため」に、水泳を習わせたいと言う親御さんがいます。「いざという時」とは、水害に遭った時という意味のようです。家が海辺で、釣りにも行きたいから、いざという時のために泳げるようにしておきたい…と言う場合は、ご自身の判断でどうぞ。

ただ、筆者が思うに、災害レベルの事態においては泳いでなんとかなるものではありません。それより、避難経路をしっかり頭に入れておく、防災訓練には身を入れて参加する、避難勧告が出たら素直に従うなど、やるべきことは他にあるはずです。そして、先にも述べた通り、事故対策が目的の場合は、「着衣水泳」など護身に特化したスキルの習得もおすすめします。

水泳を習うメリット

幼少期に習ったことが、その後の人生でどう生かされるかは未知数です。何をメリットと感じ、デメリットと感じるかは人それぞれといえるでしょう。ここでは、スイミングの「幼児コース」とキッズ対象の「短期講習」を受講し、「とりあえず泳げるようになった」というの筆者目線で、水泳を習うメリットについてお話しします。

学校の授業についていける

やはり学校の水泳の授業で苦労しないというのは大きなメリットです。筆者は、スイミングスクールの短期講習を受けただけですが、学校の水泳の授業の課題は難なくクリアできました。「抜きん出る」ことはなかったものの、「1~2時間の授業を苦痛なく無難にやり過ごす」には問題ありませんでした。

スポーツ系には進学しないけれど、(学校推薦がほしいなど)体育も含めて成績は平均以上取っておきたい場合、水泳は「ちょっと習っておく」ことをおすすめします。

大人になってから一人でも再開できる

スイミングは、野球やサッカーと異なり、チームではなく一人でできるスポーツです。大人になって「体力が落ちた」と感じた時や、「太ったからダイエットしたい」と思った時に、本人次第で再開できるのも大きなメリットだと思います。

人によっては、子供の頃にスイミングを習っていたけれど、大人になったら泳ぎ方を忘れてしまい、費用が無駄だったと感じていらっしゃる方もいるようです。ですが、これは人それぞれといえるでしょう。筆者は、大学院生時代に、旅行先で15年ぶりにプールに入りましたが、問題なく泳げました。スポーツジムでは、健康のための水泳や水中歩行のコースもあるので、運動の選択肢が増えるという意味で、「泳げる」ということはちょっと得ですね。

レジャーとして楽しめる

大学生、社会人になってから、グループや恋人とビーチに行くこともあるでしょう。また、大学や社会人サークルで、サーフィンやシュノーケリングを始める人もおりますね。大人になってからやりたいことができた時、「泳げる」ことが本人にとってプラスになる場合も多いでしょう。

筆者も社会人になってからシュノーケリングに興味を持った一人です。広告を見るたびにワクワクしながら、お金を貯めています。「やってみたいこと」が見つかった時、基礎ができている(水に潜るのが怖くない、泳げる)というのは得した気分です。

学校に行く予行練習ができる(未就学児の場合)

これは、その他の習い事にも言えることですが、幼児にとっての習い事は、初めて「親以外の大人からものを教わる」という経験になります。特に、水中での体の動かし方は、陸上でのそれとは全く別物ですので、指示を聞いて考え、イメージ通りに体を動かす訓練になります。「質問する」「説明を理解する」「試行錯誤しながら教わった通りに体を動かす」という経験は、今後の学校生活にスッと入っていける基礎になるといえるでしょう。

デメリット

では、水泳を習うことのデメリットとは何でしょうか。…スポーツをするにあたり、真っ先に思い浮かぶのが「事故に遭う」可能性です。コーチが付いているとはいえ、水中で急に足が攣ってしまったり、排水溝に水着が引っかかったりしたことがきっかけの事故は、少ないとはいえ、昔から起こっていました。

このような事故に遭わないために、少人数制でコーチの目が行き届くスクールを選ぶなど、いろいろ対策したいものですね。

家では練習できない

一般家庭で25mプールをお持ちの方はまず人はいないでしょう。スイミングは、プールのあるスポーツジムまで行かなければできないスポーツです。大人になって再開する際も、近くにプールやスポーツジムを探さねばなりません。

感染症の恐れがある

筆者は小学生の頃、「プール熱」というものにかかりました。熱が一週間ほど続き、だいぶ辛かったことを覚えています。プール熱は必ずしもプールの水を介して感染するというわけではなく、共用のタオルや接触感染などでも広がります。とはいえ、プールでの感染が多いことから「プール熱」と呼ばれていることは事実です。詳しくは医療関係の資料をご参照されることをおすすめします。

体力を消耗する

水泳はかなり体力を消耗するスポーツです。スクールから帰ってくると、たいていの子供はぼーっとして眠たくなります。他の習い事や勉強がある場合、スイミングの後に予定を入れてしまうと集中できなくなります。

他の習い事と並行する場合は、一日の計画をしっかり立てて、順序よくこなしましょう。この意味でも、筆者は、通常授業のない夏休み中の短期講習をおすすめします。

レジャーでの水難事故に遭う可能性が高くなる

泳げない人間は、そもそも水に近づきません。しかし、少し泳げることで自信がついてしまい、ちょっと深いところまで行ってみようとしたり、堤防から飛び降りたり…若気の至りが大惨事につながることがあります。泳げなければ、水にまつわるレジャーは選択しませんが、泳げるが故に水に近づき、水中で足が攣るなどして事故につながった例もあるのです。

まとめ

子供の習い事として、スイミングは初期費用も比較的安く、学校の授業にも活かせる上、体力増強も期待できることから、おすすめのスポーツだといえるでしょう。ただし、筆者は大人になってから泳ぐ「必要性」を感じた経験はありませんので、水が嫌いな場合は無理に習う必要はないと思います。また、水泳はかなり体力を使うスポーツですので、他の習い事と並行して行う場合は、優先度や目標を明確にし、上手に両立しましょう。

  • 初期費用は比較的安く抑えられる
  • 「クロール」「平泳ぎ」で25m泳げれば、学校の授業ではまず苦労しない
  • 学校の授業についていくことが目的ならば短期講習がおすすめ
  • 体力づくりにはGOOD
  • 大人になってからは趣味・レジャーとして人生を豊かに
  • 水難事故には注意

おわりに

最後に、「スイミング」に関するおまけ情報を書いておきます。スイミングは、練習の度にプールのあるスポーツジムに通う必要があるため、お金がかかるイメージがありますが、市営ジムや大学のスポーツジムも、施設を低価格で解放しています。ご興味のある方は、ご自身の住んでいる地域の公共施設を調べてみましょう。

また、泳げないと「年頃になった時に、ビーチでのレジャーが楽しめないのでは…」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、そうとも限りませんよ。海では必ずしも泳ぐ必要はなく、腰まで水に浸かって波を楽しんだり、ビーチバレーや日光浴、バーベキューなど、浜辺でのレジャーだけで充分楽しめます。余談ですが、筆者は「山派」だったので、年頃と呼ばれる年齢の頃は一度も海では遊びませんでした。

「体力づくり」としてスポーツをすることには大きな意義があります。さらに、その枠を越え、「習い事としてのスイミング」が、どんな広がりを持って人生を豊かにするか…イメージできたでしょうか。習い事が子供にとってだた「大変だった」という思い出ではもったいないです。人生を通して経験が活き、大人になっても「あの時、頑張ってよかった」と思えるよう導いてあげられると良いですね。

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